リリース情報ばかりだとツイッターと変わらないので、
手元にあるポスターの紹介もちょこちょこやっていきたいと思います。
今年は購入ペースが落ちているため、過去のポスターも織り交ぜつつ……。
さて、5月にMONDOから到着したアートポスターを紹介しましょう。
Martin Ansin氏による映画『ブラックパンサー』のスクリーンプリント、バリアント版です。
下に覗いているのは映画『Destoyer』のアートポスターです。
これはまたの機会に。
このポスターのレギュラーはこちら。
MONDO以外のアートハウスも含めて、紫をベースにした配色が多い印象の『ブラックパンサー』のアートポスターですが、今作のレギュラーは鮮やかな赤がベースになっています。
Martin Ansin氏の作風の一つでもある、スタイリッシュなタイポグラフィの中に躍動感あるブラックパンサーが配置されています。ブラックパンサー以外のキャラクターはプロモ写真(ポスターや宣伝に使われる、スタジオ側から提供される素材)をベースに描かれているようです。
常々、アートポスターはレギュラー版が決定版だと思っていますが(あくまでもバリアントはバリエーション)、今回はバリアントで加えられたデザインが魅力的なため、レギュラーは見送りました。
タイトルの『BLACK PANTHER』が何者かに切り裂かれたように見えます。
そして、切り裂かれたポスターの下には『KILLMONGER』と読めるデザインが……。ワカンダの光と影を描く、映画『ブラックパンサー』のコンセプトを昇華したデザインですね。
実物を入手してわかりましたが、デザインだけではなく、印刷も凝ったものでした。
網点が見える上のレイヤー(ブラックパンサー)としっかりとインクが乗った下のレイヤー(キルモンガー)のコントラストでスクリーン線数(印刷上の解像度)が変えてあるように見えます。
これにより、キルモンガーのポスターの上に、ブラックパンサーのポスターを貼ったことが強調されているわけです。
※実際には網点がわかるように描かれたレイヤーを用意しているだけで、同じ線数で刷っているのだと思われます。
キルモンガーのレイヤーがとても美しくてですね……。上レイヤーと違う紙を使っているのかと思うくらい、質感の差が出ています。
マーベルスタジオのロゴをタテに配置するのも新鮮でいいですね。
右上部に配置された主張しすぎないクレジットもいいですね。監督の名前が目の下に来るように計算して組んでいることがわかります。Martin Ansin氏作品はクレジットの組み方がどれも独特で、ロシア構成主義の影響も感じます。
ブラックパンサーの描き方も美しく、曲線を多用したマスクの造形や筋肉の隆起を、インクの陰影で表現しています。
ポスターの用紙は淡い紫でした。
紫の上に網点で描写された黒が乗り、ブラックパンサーに独特の立体感が与えられていることがわかります。
最近発表されるMCUのアートポスターは個人的に驚きに欠けることが多いのですが、前回紹介したMatt Taylor氏による『キャプテン・マーベル』同様、表現のさらなる可能性を感じさせる1枚でした。
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