アートハウス『Mutant(ミュータント)』から始まるオルタナティブポスターの新時代

オルタナティブポスター情報

はい、今年最初の投稿です。

ろくに更新しなかった2023年、訪問してくださった方、ありがとうございました。
ついにMONDO(モンド)を去ったスタッフが新しいアートハウスをスタートさせました。
そのため、今年は更新回数が少しは増えそうです(汗)。

そのアートハウスの名はMutant(ミュータント)
2024年1月29日からサイトはオープンしており、今夜からはオルタナティブポスターのリリースもスタートします。
この投稿では現時点でわかる範囲のMutant情報をまとめます。
タイトルちょっと大袈裟で、何のひねりもないタイトルですみません。

よろしければお付き合いください。

Mondoの正統後継者、Mutant(ミュータント)とは

Mutantロゴ。クリックでMutantオフィシャルサイトに飛びます。

2024年1月29日にVarietyColliderなどから発信されたMutantのスタートに関するに記事を要約すると
・俳優 イライジャ・ウッド氏と映画プロデューサー Daniel Noah氏が所有する制作会社SpectreVisionと、出資者2名(Mondoの元共同設立者 Tim League氏、Talon Entertainment FinanceのCEO Steven Demmler氏)によるコレクタブルアートの新会社 Mutantが始動。

・MutantのCEO Jenny Jacobi氏が率いるチームは元Mondoのクリエイティブディレクター4名(Spencer Hickman氏、Eric Garza氏、Mitch Putnam氏、Mo Shafeek氏)。
限定アートワーク、サウンドトラック ヴァイナルなどコレクターズアイテムやイベントの開発を行う。

・Eric Garza氏、Mitch Putnam氏はオリジナルポスター、オリジナルアートワークを担当。
Spencer Hickman氏、Mo Shafeek氏は音楽関連を担当。

・最初のリリースはヴァイナル2種。
『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』とNetflix映画『雪山の絆』
どちらもMutant限定版が用意される。

・オルタナティブポスターは『デューン 砂の惑星 PART2』がまもなく披露される。

・サウンドトラックのプロジェクトは下記のコンポーザーと準備中。
Michael Giacchino氏
Hans Zimmer氏
Carter Burwell氏
Isabella Summers氏
Goblin
Laura Karpman氏
Le Matos
Simon Waskow氏

・オルタナティブポスター、限定アートワークは下記のアーチストが準備中。
Aaron Horkey氏
Nicolas Delort氏
Matt Taylor氏
Deb Lee氏
Phantom City Creative
Rory Kurtz氏
Matthew Woodson氏
Greg Ruth氏
Francesco Francavilla氏
Teagan White氏
Daniel Danger氏
Murugiah氏
We Buy Your Kids
Ken Taylor氏

・Spencer Hickman氏とMo Shafeek氏のコメント
「モノカルチャーの時代は過ぎ去り、それに伴い、毎年制作される多くのメディアをめぐる文化的意識の分断が見られるようになりました。
Mutantでは、話題のサウンドトラックだけでなく、ストリーミングの世界で選択肢の海に埋もれてしまった映画、テレビ、ビデオゲームも含めて、キュレーションと祝福によってファンダムの基盤を築くことを目指しています。
私たちは、すべてのファンダムに向けたポップカルチャー製品を作ることで、誰もが歓迎されるコミュニティを築きたいと考えています」

・Eric Garza氏とMitch Putnam氏のコメント
「限定版アートワークの復権を目指し、この世界に復帰できることを非常にうれしく思っています。
私たちの優先事項は、お気に入りのアーティスト、デザイナー、ライター、映画制作者を支持することに趣きを置き、アートに焦点を当てたプロジェクトを中心に、これまで達成したことの限界を押し広げ続けることです」

Jenny Jacobi氏とアートディレクター4人衆

<引用元>
Elijah Wood and Daniel Noah to Launch Art and Collectibles Venture Mutant with Former Mondo Founders
Mondo Co-Founders Team With Elijah Wood’s SpectreVision For New Art, Music, and Collectibles Shop
The First Art Releases From Mondo’s Mutant Showcase Vampires and Madness

【かんたん解説】これからもオースティンと共に

MONDOのポスター事業縮小ですっかり冷え込んでしまったアートポスター業界。
ポツポツとリリースされるものもMCU、DC、LOTR、ハリー・ポッター、BTTF、TMNTなど、売上が読める版権が中心となっておりました。
(アンダーグラウンドのプライベートコミッションについては知りませんが、あまり盛り上がっている感じはしませんね)
フィギュアが中心となったMONDOも展開の方向性が定まらず、あの勢いはどこへやら……。
そんななか報じられたMutantの登場は、久方ぶりの良いニュースと言えるでしょう。

アートディレクター4人衆に、MONDOの共同創業者であるMitch Putnam氏の名があることからわかるように、MONDOのハートの部分はMutantに継承されました。
大作や話題作だけではない、多様な映画文化をアートに反映させることがMutantに期待されることです。

出資者のひとりがTim League氏(映画館チェーン Alamo Drafthouse CinemaのCEO)というのも、とても興味深いですね。
コロナ禍の影響で不振に陥ったAlamo Drafthouse Cinemaを救うため、子会社のMONDOをFUNKOに売却したTim League氏が改めてアートハウスへ出資をしたということは、同社とMutantのコラボレーションも視野に入っているのでしょう。
(そのうちFantastic Festに合わせて、Mutant-CONとかありそうですね)

Mutantの所在地はテキサス州オースティン。
うやむやになってしまった実店舗(ギャラリー)についても期待したいところです。
オースティンといえば、アートイベント『サウス・バイ・サウスウエスト(SXSW)』ですが、北米のアートシーンの中心である同地から、新たにスタートしたMutantの発展に期待します。

さて、ここからMutantのポスター情報です。

【Mutant オルタナティブポスター】 第1弾はNicolas Delort氏による『ザ・ヴァンパイア 残酷な牙を持つ少女』

『ザ・ヴァンパイア 残酷な牙を持つ少女』
A Girl Walks Home Alone
by Nicolas Delort
24″x 18″
US$50
Mutantにて、日本時間1日午前1時リリース

今回のモチーフは2014年製作のイランを舞台にしたヴァンパイア ホラー。
モノクロ制作の映画本編に合わせ、緻密な描写で印象深いモノクロアートを生み出してきた、Nicolas Delort氏による作品がMutant第1弾となりました。

MONDOのハートを継承したMutantらしい、渋い作品のセレクトですね。
「限定版アートの復権」を予感させる、狼煙のようなオルタナティブポスターです。

【Mutant アートポスター】Aaron Horkey氏の最新作は野心的なコレクターズアイテム

ザ・ヴァンパイア 残酷な牙を持つ少女と同時にAaron Horkey氏の最新アートポスターも発表されました。
こちらは映画からインスパイアされたものではなく、Aaron Horkey氏のオリジナルアートを手の込んだ加工方法で印刷物にしたものです。

Glochidia
by Aaron Horkey

9″x 14.5″
受注生産
(日本時間:日本時間2月2日午前1時~2月6日午後3時まで受付)
US$150

Aaron Horkey氏の真骨頂とも言える、有機的な曲線で描かれた、キュートにもグロテスクにも見える奇妙なクリーチャー。
このアートを高精細なジクレープリントで出力し、さらに職人技の型押し(エンボス、デボス)と箔押しで立体的表現しています。
Mutantのコメントでは、
「我々の作品の多くは、映画やポップカルチャーの世界に存在していますが、それだけに限定しているわけではありません。我々は一流のアーティストと仕事をし、彼らの作品をオーディエンスに届けるプラットフォームを持つという、またとない特権と機会を持っています。我々はその責任を軽んじてはいません」
これからMutantが生み出していくアートは版権物だけでなく、オリジナルアートも積極的に打ち出していく、その最初のステップが『Glochidia』だということです。

型押しによる立体感に加え、箔押しで玉虫色のテクスチャまで加えられた、なまめかしい存在感。
150ドルはアートプリントとしては高額ですが、かかっている手間を考えると安いと言うしかなさそうです。
受注生産ということで、欲しい人に行き渡る販売方法も素晴らしい。
気になる方はぜひチェックしてみてください。

【Mutant サウンドトラック】 ヴァイナルも凝ってます

Mutantのサイトで現在予約受付中の『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』とNetflix映画『雪山の絆』のサントラヴァイナルもいい感じです。
特に『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』のMutant限定版は通常のゲートフォールドをチョコに見立て、ゴールドフォイルの包装紙でパッキング。
開封時には包装紙を破ることになるという、コレクター的にはたまらないギミックが仕込まれています。

『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』Mutant限定版
WONKA: Original Motion Picture Soundtrack 2XLP Mutant Exclusive
Music by Neil Hannon and Joby Talbot

4月発送予定
US$44.99
『雪山の絆』Mutant限定版
Society Of The Snow: Soundtrack 2XLP
Music by Michael Giacchino

3月発送予定
US$39.99


足早ではありますが、新しいアートハウス Mutantの紹介でした。
気になるのは日本への発送にどの程度コストがかかるかですねぇ。
円安だった2023年は、コンスタントなポスターのリリースがなくてある意味助かりましたが、
すでにRory Kurtz氏がFacebookにて、Mutantからのリリース予告しており、2月中に動きありそうなんですよね。
(おそらく1作目も手がけてるアレだと思いますが)
A24通販のような、ポスターより高い送料にならないこと祈ります。

とにもかくにも、ようやく個人的に日常が戻ってきた感じです。
素直に嬉しい!

それでは~。
Mutantのオフィシャルサイトはこちらから。

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