MONDO(モンド)映画アートポスターレビュー | Matt Ryan Tobin作『Destroyer』 | ちょっとだけ『アイアンマン3』の話も

映画アートポスターレビュー

手持ちのアートポスターの紹介です。
日本では公開未定のニコール・キッドマン主演の映画『DESTROYER』、Matt Ryan Tobin氏によるスクリーンプリントのアートポスターです。
5月にMONDOから『ブラックパンサー』と一緒に届いた作品です。

どんな映画かは予告を観ればわかりますが、ニコール・キッドマン ミーツ マイケル・マンと申しましょうか……。
早く日本でも公開して欲しいものですが、スッピンをさらに推し進めたニコール・キッドマンのビジュアルが強烈すぎるのか、劇場公開は未定です。
本編ではいつもの華やかなニコール・キッドマンも出てくるんですけどね。
あと、セバスチャン・スタンがいい味出してます。

では、簡単ですがレビューに行きましょう。

Destoyer 
Matt Ryan Tobin 
36″x24″ screen print. Edition of 150. 
Printed by D&L Screenprinting.

映画本編の舞台であるロサンゼルスのに立ち並ぶ高層ビルとヤシの木の中、彷徨えるコヨーテ……。
高層ビルに目を凝らすと全て銃や弾倉であることがわかります。
銃社会を彷徨う疲れ切ったコヨーテ。このコヨーテはニコール・キッドマン演じる主人公エリン・ベルを投影した姿でもあります。

ロサンゼルス市警の警察官、エリン・ベルは砂漠地帯に潜伏するギャングを捜査している最中に、凄惨な事件に巻き込まれることになった。それから20年以上が経過した今、ベルは警察官を続けていたが、当時のおぞましい光景が脳裏に焼き付いて離れなかった。そんなある日、ギャングが再び勢力を拡大しているとの一報が飛び込んできた。ベルは因縁の相手に決着をつけるべく行動を開始したが、それはトラウマとの闘いでもあった。
wikipediaより引用

ポスターのアートワーク全体が映画の世界観を表しているわけですね。
版面を埋め尽くす、淡く、時に濃厚なマゼンタは本編中も象徴的に使われている色です。

ギラついた瞳を持つコヨーテは前述の通り、主人公のメタファーです。
荒れた毛並みが荒みきった主人公の内面を表現しているように見えます。

丁寧な描かれたヤシの木、その陰影からはカリフォルニアの陽光を感じます。
ワイルドに描かれたコヨーテや淡く描かれた銃の高層ビル街と違い、とてもシャープな筆致で描かれています。

様々な銃で構成された高層ビル街。
遠景に見せるため淡いトーンで描かれていますが、それぞれのディティールはしっかり書き込まれていることがわかります。
この辺りの濃密な描き方はMatt Ryan Tobin氏の個性が出てますね。

この照明で反射していますが、白く抜かれたクレジットや製作会社のロゴ部分。
これがないと映画のアートポスターって感じがしないと個人的には思ってます。
タイトル部分の淡いグラデーションも美しいのですが、スマホのカメラじゃ捉えきれませんね。

本編の物語や主人公の心象風景をコヨーテ、ヤシの木、高層ビルと異なるタッチの積み重ねで描き、奥行きを感じさせるアートポスターでした。
このようなさりげなく凝ったデザインを見ると、ディレククションの重要性がわかります。
話は脱線しますが、2013年の『アイアンマン3』公開時に配布されたIMAXポスターはMONDOがプロデュースしています。
ポスターの発注を受けたJOCK氏は大量のラフデザインを作り、決定稿を作り上げました。

『アイアンマン3』 IRONMAN 3
JOCK

以下、ラフデザインです。
引用元

アーチストのアイディアをより良い方向に導くのがアートディレクターのお仕事ですが、最近のアートポスターは本当にディレクションやってんのかなと思う作品が多々あります。
その辺りのことを書こうかなーとも思いますが、長く説教っぽくなるのは確実なのでまたの機会に……(笑)。

長くなりましたが『DESTROYER』のアートポスター、全く華やかさがないせいか、3月の発売以来まだ在庫が残っています。
基本的にMONDOはポスターのディスカウントはしないため、オリジナルプライスの45ドルではありますが、気になった方はチェックしてみてください。

Destroyer Screenprinted Poster


MONDOのオフィシャルサイトはこちらから。

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